胃ポリープの基礎知識
ポリープの癌化
胃ポリープは前癌病変の一つとしてその重要性というものが、ある学者によって指摘されました。それによって日本におけるポリープに対して、がん研究からのアプローチも積極的に行われるようになりました。
村上忠重ほかは組織学的検討から、胃ポリープの癌化率は66.7%に達すると報告しました。これは昭和30年代の話なのですが、この頃には胃ポリープは高率に癌化するという見解が有力であり、外科的に切除された症例が多数見られるようになりました。
しかし、胃ポリープのnatural history(動物学・博物学といわれるもの)をみるための経過観察の結果からみると、現在では胃ポリープが腺腫あるいは過形成性ポリープのいずれであってもそれほど高くないとする報告が一般的であるといわれています。腺腫では、むしろ、他部位に合併する癌の頻度が高いとされています。
もう少し具体的にみてみると、悪性腫瘍の死亡統計によると、わが国は胃がんの死亡率が最も高い国の一つであるといわれています。1960年代になり、官民一体となって癌対策に取り掛かり、この間、集団検診や健康診断の分野で診断機種の改良、進歩、普及とともに胃がん早期診断法が開発、普及し、胃がんの早期発見、早期外科的治療を行うことにより、多くの胃がん疾患者の生命を救助することができることが実証されています。
早期診断法を広く啓蒙するために早期胃がんの定義や肉眼型分類法も定められ、臨床と病理の医者が一堂に会して、検討会も行われています。これらが積み重なったことでポリープから癌化するその腫瘍片に対する知見が高まる要因となりました。