胃の病気に関する疫学
世界的な動向
胃に関する病気、病変は多々ありますが、胃ポリープに関する状況を把握する上でも、やはり胃癌に関してその情報を取得しておくことが非常に重要なことであります。胃癌はわが国の悪性新生物の中で罹患率、死亡率とも最も高頻度に見られるもので、全悪性新生物による死亡例の約1/4を占めているからです。
本項目ではその胃癌の世界的な動向をみてみましょう。世界的にみて胃癌の死亡率、罹患率はともに減少の一途をたどっています。しかし、胃癌は環境要因の影響が大きいと考えられ、地域により頻度の差が激しくなっています。
各国における死亡率を主要23カ国で比較してみると、日本が39.3で第一位であり、続いてハンガリー、ポルトガル、イタリア、オーストリアの順になっています。概していえば、いわゆる海洋国家や東欧に多くなっています。低率なものにはタイの0.6、エジプトの0.7、フィリピンの2.5などがありますが、これらはいずれも発展途上国であり、悪性新生物による死亡率そのものが低く、また深部癌の診断精度も低いため、単純には比較できません。
先進国で最も低いのは、アメリカ合衆国の5.6であり、わが国のわずか1/7であります。人種別の罹患率の比較に関する調査でも、最も低いのはアメリカ白人で、日本人の罹患率はこの7倍に達しています。多くの先進国では、わが国よりかなり先だって罹患率の低下がみられていましたが、いずれの国においても一次予防が実施されていたわけではないので、このことはたいへん興味深い現象といえるでしょう。