胃の病気に関する疫学

わが国における動向

胃ポリープをはじめとする新生物の中でも悪性新生物におけるわが国の動向をみていきましょう。1981年以来、悪性新生物はわが国の死因の第一位であり、1988年には年間死亡数は20万を超え、年々その数は増加中であります。

胃癌はその中の約1/4を占め、男女とも第一位です。しかし、その死亡率はピークを超え、減少傾向にあります。ちなみに、同年の胃癌の死亡率は男性が50.0、女性が29.0、総数で39.3となっています。訂正死亡率の年次推移をみると、1950年には男性45.0、女性28.6でありますが、1960年には男性48.3、女性30.1でピークとなり、以下1970年には男性42.0、女性26.7、1980.年は男性31.4、女性19.2、1990年には男性23.2、女性13.1となっています。

胃癌の死亡率の低下は世界的な傾向といえますが、わが国においては、壮年層の低下が顕著であるため、胃癌検診における二次予防効果が、少なくともその原因の一部であるとみることができるでしょう。

集検による二次予防効果を検討するために、集検胃癌と外来発見胃癌の手術例の予後を比較してみると、5年生存率は修検群80%、外来群56.2%、10年生存率は集検群78.5%、外来群55.1%で集検群がそれぞれ20%以上良好でありました。胃集検による胃癌発見頻度はこの数年来、0.1%台と一定していますが、集検胃癌における早期癌の比率は58.5と高く、修検胃癌群における予後が優れているのはこれに由来しているものと思われます。

都道府県別の胃癌死亡率の分布をみると、地域による分布の差が顕著であり、日本海側米作地帯である秋田県、山形県、新潟県、富山県、鳥取県、そして和歌山県で高く、埼玉県、神奈川県、静岡県、愛知県、鹿児島県では低く、沖縄県では16.6と最低で、最も高率な山形県60.0の1/3以下となっています。