胃の病気に関する疫学

食物

胃ポリープや胃癌をはじめとする胃の病気、病変の中で前項までは宿主要因をあげてきましたが、本項以降は環境要因について考えていきたいと思います。それではまず、食事について考えてみましょう。

移民に関する検討によると、移住日系人では、二世、三世と代を経るに従って、胃癌死亡率が減少し、白人のそれに近づいていることが示されています。ちなみに移民の一世では胃癌の頻度が25%、二世では50%減少するとされています。

このことは環境要因、なかでも食生活の変化が胃癌死亡率の低下に影響していることを示唆していると思われます。食物の中で胃癌のリスクファクターと目されているのは、食塩および炭水化物の過剰な摂取、燻製した肉類、焼け焦げた魚介類、硝酸塩を多く含む飲料水などです。

高濃度食塩含有食品の大量摂取による胃粘膜の損傷と胃癌発生との関連性は、既に1959年ごろより指摘されており、塩分摂取量と世界各国の胃癌の頻度、あるいはわが国における地域別の胃癌の頻度、あるいはわが国における地域別の胃癌の死亡率はおおむね相関しているといえます。

また、アメリカなどの先進国において、胃癌の頻度が著しく低下してきたのは、冷凍技術、冷蔵庫の普及の後であり、時期的にこれによる塩蔵品の現象の影響と考えていいでしょう。塩辛い物を高頻度に摂取する者の相対危険度は1.80であるという報告もなされており、白菜漬けを高頻度に摂取する者の胃癌のリスクは対照群の約3倍高いとしています。