胃の病気に関する疫学

喫煙

胃ポリープや胃癌をはじめとする胃の病気、病変に関して前項より、環境要因に着目して述べてきましたが、本項においては喫煙の影響について述べていきたいと思います。喫煙は、肺癌、口腔・咽頭癌、または消化器では食道癌のリスクファクターとして有名です。

そこで胃癌との関連を調べた研究も少なくなく、食事と並び、重要なリスクファクターであることが示されてきています。ある研究においても、喫煙者群に胃癌のリスクが高い結果が得られており、胃癌の1/3に喫煙が関与しており、毎日喫煙をした場合、胃癌のリスクを約50%高めるという報告がなされています。

肺癌の場合と異なり、総喫煙量よりも喫煙開始年齢の方が重要で、非喫煙者の相対危険度を1.00とすると、14歳までに喫煙を開始した者では3.33、15~19歳では1.72、20~24歳では1.43、25~29歳では1.51、30~34歳では1.41であったという報告があります。

煙草の煙から検出される化学物質は優に1,000種類を超えるといわれており、その中でも発癌物質として既知のベンゾピレン、ジベンゾピレン、ジベンゾアントラセン、ニトロソアミンなどが分離されています。

煙の成分は粒子相とガス相に分かれますが、このうち、揮発性のニトロソアミンはガス相に含まれ、非揮発性ニトロソアミンとベンゾピレン、ジベンゾピレン、ジベンゾアントラセンは粒子相のうちの俗称「タール」と呼ばれる部分に含まれています。ちなみに胃癌の占居部位と喫煙の関係で、噴門部領域において最も喫煙者の割合が高いとしており、この結果からは外因性のニトロソアミンの意義が強調されています。