胃の病気に関する疫学

飲酒

これまで、胃ポリープや胃癌をはじめとする胃の病気や病変について述べてきましたが、最後に本項において環境要因の中でも飲酒について焦点を向け、考察していきたいと思います。

飲酒は喫煙などに比べ、食事同様に日常生活の中で接する機会が多く、また、男女の性差もないものであるため、その影響がどれほどあるのかに対して、多くの研究がなされ、今後も積極的な知見の集約が求められています。

そこで、飲酒と胃の病変の関係については多くの疫学的検討がなされてきていまが、その成績は必ずしも一致していないという意見が多数あります。ただし、飲酒が胃癌のリスクファクターであることを肯定する意見として、日本酒換算量で一日360ミリリットル以上の飲酒者では、胃癌の相対危険度が1.89であるという報告があり、週に568グラム以上のアルコールを摂取する者は6.9であるといった報告もあります。

しかし胃癌群の飲酒者の割合は対照群のそれよりむしろ低いく、飲酒と胃の病変に関して否定的な報告、意見もあります。このほかにも、環境要因としてあげることのできるものに、放射線や経済状況などをあげる研究者もいます。放射線曝露による発癌は白血病が有名ですが、ほかに甲状腺癌、乳癌、肺癌などの発癌も確認されています。

胃癌の発生率の増加があるという報告もされており、積極的な研究が待たれます。また、経済状況においては、胃癌は所得のあまり高くない階層に多いとする研究報告もあります。未だこの方面からのアプローチは少なく、こういった環境要因に対する研究も今後発展していくことが望ましいでしょう。