胃腺腫

腫腺の定義

胃ポリープのカテゴリーの中で、前項でも述べたように腺腫や異型上皮巣は広く使用されている言葉でありますが、疾患単位として単一のものか、腫瘍性なのか非腫瘍性なのかなど、病変の本態に関する問題に対しても、各研究者間において意見の一致が得られていないのが現状であります。

しかし、廣田らは、「各研究者間に若干の相違はみられるが、おおむね明らかな再生異型やがんの異型性とは異なる異型腺菅群がある局面をもって存在し、正常組織と明らかなフロントを形成しているものを指す点では共通している」と述べています。

組織像をみてみると、隆起の表層はヘマトキシリンで濃染する異型腺菅で覆われ、病変全体は二層構造を示す、Paneth細胞や杯細胞などの腸上皮への分化を示すものが多くなっている、異型度が強いと分化型のがんとの鑑別が極めて困難になることがある、などの特徴を示します。

腺腫あるいは異型上皮巣の本態に関してはいまだに不明であります。病理学的には大きく二つの考え方があり、ひとつは腺腫とみなす見解で、もうひとつは腸上皮化生の発生過程において生じた胃分化dysplasiaとみなす考え方です。

遠城寺、渡辺、谷口、喜納、廣田ら学者たちは、腺腫(良性の腫瘍)と考えており、WHOの分類と同じであるという見解にいたっています。ただし、中村という学者は微小異型上皮巣の検討から、腫瘍性の場合と、胃固有粘膜の腸上皮化生への一過程の場合、二通りあると述べています。このように、近代になっても未だ議論が続くものとなっています。